バランス論では症状をうまく説明できない、有効な治療もできない

科学研究の論理と方法
11 /06 2019
 自律神経のバランスとか、陰陽のバランスがとれた状態が健康であり、その状態にすることが治療である、などとよく言われる。一見すると、正しい主張のようにみえるが、ほとんど意味がない。例えば、1対1でも、100対100でも、バランスは取れている。では、どのレベルでバランスが取れた場合を正常というのだろうか。

 自律神経の場合であれば、交感神経が亢進すると、副交感神経は低下するのが通常である。バランスというならば、交感神経も、副交感神経も、共に亢進あるいは低下した状態がバランスがとれた状態ということになるのか。交感神経と副交感神経は、基本的には独立した機能系なので、そのような場合も局所的にはあり得るが、普通はないといってよいだろう。

 交感神経と副交感神経のバランス以前の問題として、この2つの神経系の機能は、それぞれ低下したり亢進したり変動する。したがって、それぞれの正常なレベルはどのような場合であり、正常状態になるように制御できる方法を明らかにする必要がある。人体の機能は、すべてタンパク質分子の機能が発現したものであるので、その分子構造の変化と対応させて説明できないバランス論は物理・化学の法則との接点がない。法則性があればそれを応用して制御できるが、法則性がないバランス論ではタンパク質分子を制御することに役に立たない。五行論や、気血水論などにも、同様の問題があり、このような原理を前提として生命を考えるべきではない。何となく分かったような気分にさせる、言葉のあやでだますことは科学ではない。

 鍼灸や漢方、アーユルヴェーダなどに見られる、頭の中であれこれ考える思弁的説明は、辻褄を合せるために、天動説のようにいたずらに冗長で複雑になってしまう。そのようなことに深遠さを感じるようでは科学研究とはいえない。科学研究というものは、複雑で多様な現象から、単純な法則性を探りだす営為である。法則性を探究せず、科学性の低い治療法に、高い有効性があるはずもない。患者たちは、東洋医学系の治療法にはあまり深入りしないほうがよい。
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zigk69

 数十年に及ぶ超重症のうつ病など、いろいろな病気に苦しんだ。心身の破綻を回避できる方法はあるのか、それだけを考えてきた。生命は極めて複雑であり容易には理解できないが、必ず物理法則に従っているはずである。これならば科学化できると確信したのが磁気療法である。
 生体は磁気にどのように反応するか、物理法則によってどのように説明できるのか。自己実験と思考実験を繰り返す、試行錯誤の日々であった。その集大成を電子書籍『ニセ科学ではなかった磁気療法』として公開している。
 磁気を加える部位とS磁・N極の選択が正しくなければ効果はない。そのための法則と理論が書かれている。それを理解すれば、誰もが多くの病気を即効的に完治させて健康を取り戻すことができるだろう。